「奴隷を此処に居させても、良い事はありません」


そしてあたしも、 これ以上此処(お城)に居るのは 辛いから。


「だからもう、お城から出してください」


「・・・どうしてアンタは、僕に何度も同じことを言わせるんだい」


すこし不機嫌な声に 彼女の身体がビクリと震える。

けれどその声とは裏腹に、王子はまるで壊さないかのように、優しく シンデレラを抱きしめた。


「僕は アンタを手放さない」


「・・・・・どうしてですか。 あたしは―――」

( 王子様の考えている事が、まったく理解できません )


その言葉は、言えなかった。
彼のことに干渉するのは、許されないから。


「―――っ」

黙りこんだ彼女の頬に触れ、そして優しく上げられる。


すぐ目の前にある、整った顔。

王子と彼女の唇の距離はゼロ。


触れるだけの口付けに、

これも、同情のため――?

心の何処かが、悲しんだ。