季節も秋へと変わる頃、私は家で1冊のアルバムを見ていた。
ふと目に入った1枚の写真。
私と一緒に写っている知らない1人の青年。
でも、どっかで見たことがある気がする。
私は祖母に尋ねた。
 「ねぇ、この人誰?」
でも何度聞いても祖母は、
 「知らないよ。」
の一点張りだった。

それから数日間、毎日のように私は祖母に聞いた。

10日程たった今日も私は祖母に聞いていた。
 「ねぇ、この人誰なの?」
すると祖母が口を開いた。
そして驚くべきことを言った。
 「清來のお兄ちゃんよ。」
 「えっ・・・嘘だ!
  私は一人っ子だもん!」
 「嘘じゃないよ。清來が3つの時、お兄ちゃんはあなたみたいに捨てられたのよ。」
 「嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ!
  おばあちゃんの嘘つき!」
私はそう言って家を飛び出してしまった。
今思えば、私は祖母にすごくひどいことをしてしまった。
後悔しても後悔しきれないことをしてしまった。