カイルを捜して城内を歩き回った。
部屋にもいなかったし、どこへ行ってしまったのだろうか。
庭にも図書室にも、騎士団にもどこにもその姿はなかった。

私は西の高い塔の上から下の庭や城外を見渡す。

いない。
まだ帰ったとは聞いてないけどならどこへ行ってしまったのだろうか。

すると、その時。


「やっぱりその姿は見違えるようだな」


後ろから声がして振り返る。
塔の入口階段の所に、壁に寄り掛かったカイルが目を細めるようにしてこちらを見ていた。


「ズボン姿ばかり見ていたから、やっぱりドレス姿を見ると、一瞬誰かわからないな。見慣れない」
「カイル」


なんだか少し気恥ずかしい気持ちになり、ちょっと下を向く。