「良かったですね、オバケじゃなくて」

階段を下りていく二人。
小林はもう、すっかり元気を取り戻してジェイソンの前を歩いている。
極度の緊張で気持ちの糸が何箇所か切れてしまったらしく、小林は変な高さのテンションで一人喋り続けている。

「それにしても、ホント人騒がせな先生ですね、アハハ」

「まだ膝に力が入らない、エヘヘ」

管理人室にたどり着くと、ジェイソンは出口に向かおうとした。

「じゃあ、私はこれで」

それを聞いた小林が、突然、ジェイソンに再び飛びついた。

「ちょ、ちょっと待ってください!」

「なんですか!」

「お願いします、見捨てないでください!」

小林が、必死の形相でジェイソンの顔を見上げる。


「午前2時にも、もう一度見回りがあるんです!」