長い間あたしが想像していた母親は“あぱずれ”、例えばそんな単語を絵に描いたような女だった。

でも実際の彼女は違っていた。真面目で清楚な雰囲気の人だった。
 

でも、あたしを捨てたのには変わりはない。

生まれて間もなかったあたしを置き去りにしたような人間なんだ。


そして施設を出て六年目になる、この春。

今年で十七になるあたしは、また捨てられようとしていた。