「働いてるっていうか、ちょっと手伝ってるくらいだけど…」

「ふーん。それって金が欲しいから?」


無遠慮に投げられた言葉に一瞬戸惑う。

蒼太君なら、こんな言い方しないのに。そうだよ。絶対しない。


「バイトがしたいけど、他にこの辺りで働けるとこもなかったから」


答えになってるかわからないけど、そう言ってみた。

そしたら隼太は、ちょっと考えこむような顔をして、それから顔を上げて言ったの。


「あんたさ、俺のモデルになんない?」

「………」


意味がわかんない。

モデル……?
“俺の”モデル、って?

意味不明すぎて訊き返す言葉も見当たらない。


黙ったままでいたからか、隼太がまた口を開いて

「俺さ、これでも絵を描いてメシ食ってんだよね」

って笑った。