サキさんを見送って間もなくのことだった。


「あぁー 腹へったー!」


勝手に上がりこんで来て椅子にドサッと腰を降ろし、そして呆然とするあたしをチラッと見上げた隼太。


「あれっ サキさんは?」

「出かけた、けど……」

「じゃ、あんたでいいや。腹がへって死にそうなんだけど、俺」


“死にそう”になんて、とても見えない明朗な口調でそう言って、小型犬のように目をクリクリとさせる。

どうしてよりによって、あたし一人の時に来るかな?

心の中で文句を言ってみるけど、そんなこっちの心境なんてまったく読めないみたい。


「なんか食わせてよ」


無遠慮かつ馴れ馴れしい態度で、そう言った。