そして足を止めて

「じゃなくて。
知りあって3ヶ月も経つのに、俺たち知らないよね? お互いの番号とか」

と付け足した。


「あっ そういえば……だよね」

「っていうか、訊かない俺が悪いのか」


苦笑しながら頭を掻く彼。

暗くて顔は見えないけど、いつもの優しい声が漂った。


「教えてくれる?」

「もちろん」


二つのライトに照らされた蒼太君の顔。
真剣な表情で、左右それぞれの手の中で器用に指を動かしてる。

その隣であたしは、その横顔になんとなく見入った。