リツコちゃんを送ったあとで蒼太君は、ジンさんの家の前に車を停めて

「歩いて送ってくよ」

と言った。



他愛もない話をしながら歩く。昨日観たテレビや、彼の大学の友達のこととか……

蒼太君が笑うと、自然とあたしも笑顔になった。

彼といるとホッとする。

それは、ドキドキでもない。胸が苦しくなるわけでもないんだけど……でもなんだか心がふんわりと温かくなって、落ちつくんだ。

蒼太君は、そんなふうに幸せな気持ちにしてくれる人。


青空に浮かぶ白い雲を見上げながら、久しぶりにミカとアイに電話してみようかな、ってあたしはそう思った。