「ひとり?」


蒼太君が尋ねるとコクっ頷いた。
両手で包みこむように、木彫りのリスのような物を持っている。

彼女の後ろに目線を移すと、壁際に置かれた棚の中に同じような動物達が並んでいた。


「あぁ、可愛い!」


リスの他にもフクロウやウサギにネコなんかもいる。

そして棚の隣のテーブルの上には、いろんな絵柄や表情の丸い動物達がいっぱい ――


「それ、全部石だよ」

蒼太君が言った。

「え?」


すると彼は、あたしの掌に「ほらっ」と丸いブチネコを置いた。

ひんやりと冷たくて、そっと裏返してみると……本当に石だ。

そしたら、側にあるテーブルの角に置かれた小さな札が目に止まったの。

そこには“楠 蒼太作”って書いてあって、隣を見上げて伺い見ると、彼は照れながら頷いた。