どこの誰なのか、生きているのかもわからなかった父親の存在が、急にリアルな物になる。

それから気になるのは、沙織さんとそのあたしの父親だという人物が今でも繋がってるのかってこと。

沙織さんはその人に頼んで、あたしを北海道に来させた?

もしくは二人で相談して……父親が提案したのかもしれない。

頭の中がパンクしそうだった。


「由那ちゃん?」


蒼太君の声に我に返った。


「あっ ごめんなさい! なんだかあたし……」

「もしも話せる範囲で、俺でよかったら聞くけど?」

「……いえ、大丈夫です…」


気づかってくれた蒼太君には申し訳ないけど、何をどう言葉にしていいのかもわからないぐらい混乱していたんだ。