目が覚めた。 かたく握りしめていた拳を開くと、しっとりと濡れていた。 空気に触れた掌の、一気に汗が冷えていく感じが気持ち悪かった。 「イヤな夢……」 呟いたあたしは、横になったまま枕元の携帯を手に取り時計を見た。 薄暗い空間に浮かびあがるライト。 ―― 午前 2時7分 ―― 急に喉の渇きを感じて起きあがり、がらんどうの部屋の中を見渡した。 あたしが座っているベッドの他には、大小二つの鞄が寄り添うように置かれているだけ。