病室に戻ると隼太が来ていた。

ドアを開けたあたしに気づいて「おっす」と言った。

そして、持っている袋から大事そうに取りだしたのは……向日葵の絵。

完成、しちゃったんだ ――

そう思い、胸の奥がギュッとした。


「うわぁー、すごーい!」

キョウコさんが歓声を上げる。

「どこに飾ったらいいかな?」

額縁を手に、部屋の中を見まわした隼太。


「それで、わざわざバスで来てくれたの?」

サキさんが尋ねると

「早く見せたくてね」

と、微笑んだ。


絵なんて、よくわからないあたしだけど。隼太が描いたその向日葵を、美しいと思った。

何処がどういいとかは、うまく説明できない。

でも、そんな理屈じゃなくて……ただ、美しいって感じたんだ。

だけど、その絵が完成してしまったことで心に湧く思いもある。

それは、言いようのない寂しさと切なさが、入れ混じって絡み合って……胸が潰れそうになった。