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空を飛んでしまえば北海道だって近いものだ。

流れて出てきたバッグを掴んで、ロビーを目にしたあたしは驚愕した。

羽田とのこの大きさの差はなに?

そこは、さすがのあたしでも迷いそうにない、小さな小さな空港だった。


「さてと……」


斜め掛けしたバッグのポケットの中を探り、住所の書かれたメモ紙を取りだした。

と、そこへ ――


「 ―― さ~ん」


どこからか聞こえてくる声。

といっても、あたしには関係ない。もう一度、手の中に目線を移す。

だけど。


「 ―― ナさ~ん!……ユナさ~ん!
……水内 由那(ミズウチ・ユナ)さーん!!」

「え?」