タクシーの窓ガラスが白く曇っている。
救急車に乗りこむ時には降っていた雪も、いつの間にか止んだようだった。
携帯を確認すると、蒼太君とりっちゃんからの着歴が残っていた。
「電話入ってた?」
隣に座る隼太が、覗きこんできた。
「うん。蒼太君とりっちゃんから。
救急車を呼ぶ前、二人に電話したけど繋がらなかったの」
「最初に兄貴にかけたの?」
「……だってあたし、隼太の番号知らないもん」
言ってから顔を伺い見ると、隼太が言った。
「俺、携帯持ってないんだ」
「えっ ウソ?」
「ウソじゃないよ」
今どき、そんな人っているのかなって思ったけど。ちょっと普通っぽくない隼太なら在り得るかもね。
「でもよかった。あの時、あのタイミングで通りかかってくれて」
その言葉に応えるように、握っているあたし手を反対の手で包み、言った。
「大丈夫だよ。あんまり心配すんなって」
不安で怖くてパニックになりそうだった。
でも隼太が一緒にいてくれたから、こうやって少しだけど落ち着くことができたんだ。
来てくれて……居てくれて、よかった。



