診療時間外の病院というのは、こんなに暗く寂しいものなんだ……。
シーンと静まり返る廊下に、非常灯から漏れる唸り声のような音が浮いている。
隼太が握ってくれている右手が暖かい。今はそれだけが、たった一つの頼りのように思えた。
しばらくして扉が開かれ、そこから出てきた医者が、軽く会釈をし通り過ぎて行った。
その後で出てきた中年の看護士が、あたし達の前に立った。
「軽い脳卒中だと思われます。CTでは異常は見られなかったのですが、更に詳しい検査は朝になってからになりますので、ひとまずお帰り下さい」
ひどく事務的な言い方だった。
「あの、意識は?」
「先程戻りましたが、今はまた眠っていますので」
「……顔を見てもいいですか?」
「先程申し上げた通り、ひとまずお帰り下さい」
促されるように隼太に肩を抱かれ、力なくあたしは立ちあがった。



