「ただいまー」

「おかえりなさい。寒かったでしょ?」


居間へ入ると、台所から流れてきた食欲をそそる匂い。


「お腹空いたぁ~」

サキさんの肩越しに、その手元を覗く。

「お風呂に入って体を温めてから、おあがんなさいね」


サキさんの温かい笑顔にあたしの心は、体より先に温もりを貰う。

近頃のサキさんは、体の調子も良さそうでとても元気だ。


着替えを持って浴室へ向かうあたしの背中に、サキさんが声をかけた。


「お弁当もできてるから、あとでお願いね」

「はーい」