買い物を終えて家に戻ると、もう日が暮れ始めていた。

結局、ブーツとコートにスカートまで買ってしまったあたし。


「ただいま。ごめんね、遅くなっちゃって?」

家に入ってサキさんに声を掛けた。

「おかえりなさい。
いいのよ。若い人はどんどん外へ出たほうがいいわ」


サキさんは、十歳は若く見えるといっても言いすぎじゃないくらい、元気で若々しくて綺麗だと思う。

でも最近では、外出することがあまりなくなっていた。


「それで明日は、ソウちゃんと出かけるの?」

「ううん。違うよ」

「あら、そう。
由那ちゃんが嬉しそうにしてるから、てっきりソウちゃんとデートかと思っていたわ」


ニッコリとサキさんに笑いかけられて、あたしは思わず目を逸らしてしまった。

明日会う相手が、蒼太君ではなく隼太だと言えなかった。

蒼太君がいないから、隼太と出かけようとしているあたしかもしれないから。