それとも、からかわれただけ? こういう状態って、振り回されてるってことなのかな。
―― なんか、言いなさいよ? ねぇ、言ってよね? ……って、言うわけない、か
何も語らない背中を見つめたまま、あたしの口から溜め息が漏れた。
なんとなく虚無感みたいなものを感じて部屋を出ようとした時、隼太が尋ねてきた。
「兄貴はまた、東京へ行ったの?」
「ううん。今度は沖縄だって」
「ふ~ん。いいよなぁ、暖かそうで」
小さな笑い声がした。
こんな弾んだ声を聞くのは、久しぶりかもしれない。
「一週間くらいは、帰れないみたい」
「へぇー」
でも相変わらず、背中を向けられたまま。



