「俺らを忘れろ。この店も、レオンのことも。」
意識がぼーとしているなか、さっきまで聞こえた声よりもはっきり聞こえる声が呪文のよう。
まるで、耳に残る感じ。
「忘…れる。」
頭が重い。…ガクンってなる。
あたしがそう言った途端に、綺麗な顔が離れた気がした。
「……ふん」
「蓮、お前な…。」
「俺は、理巧みたいにお人好しでもないし割りきれない。」
「だからって…!」
会話が聞こえる。あの怖い人が離れたせいか、頭が重いのも、意識もぼーとしない。
…と、言うか。
「…道具以下って…なによ。」
「……っ?!」
「え!あ、亜恵ちゃん!?」
「う、嘘でしょ…あの、蓮くんの目を見たのに?!」
あたしが、言葉を発した事に怖い人の蓮くん、理巧くん、晶くんが驚きを表していた。
「…おもしれぇ。このアマ。」
そんな三人とは違い、空也と黒南だけは違った。
「やっぱり…な。」
楽しそうに言う空也と、意味深に言う黒南。
…と。
そんな事は、耳に入らない亜恵は蓮に言われた事にもの凄くキレていた。
あたしは、さっきまで意識がぼーしていたのが嘘のようにスクっと立ち上がり蓮くんに近づいた。
「……なんで…」
まるで、信じられない物を見るように驚いている。
…今はそんなのどうでもいい。
餌とか、道具以下とか…、
「あんた、…何様よ。」
「…は?」
拍子抜けなのか、さっきまでの驚きが薄い。
「…道具以下の餌にもなれない人間の女って。あんた、何様よ」
「……っ!!」
こんなにも怒りが混み上がるなんて、自分でも驚いてる。
…なにより、ビリビリと身体中に電気が走る感じ。
「…お前、なんで効かない?……しかも、なんで俺の…」
何がどうなっているのか分からない蓮は動揺を隠せない。
そんな蓮の言葉に、ピクッと眉が動く亜恵。
だから、そんな事はどうでもいいんだって。
「……質問してるのは」
ーガシッー
「?!」
「あたしなんだけど!!」
この時、今思えば自分でも信じられない行動をしているなっと思う。
……なんたって、蓮くんの胸ぐらを掴んでいた。
「…あんたが、どう思ってどうしようが勝手だけど」
なにより、そんな考え方をしてる事がすんごくムカつく。
大体、あの俺様といい。
「あたしはあんた達の道具でも餌でもないつーのっ!!」
全身からビリビリとくる怒りを一斉に使い出すように力強く怒鳴る亜恵。
それを、呆然としながら見ている
理巧、晶。
そんな二人とは別に、楽しそうに見つめる空也、黒南。
修羅場ともいえる場面なのに、異なる反応。
今のあたしにはなんにも思わなかった。
ただ…
ただ、怒りが爆発してるってことが、強かった。
「ぶ、アハハハー!!」
?!
え、
爆笑とも言える、笑い声が店じゅうに広がる。
「―はぁ~、人生で一番笑ったわ。亜恵、お前やっぱり面白いわ!」
黒南さんに言われて、怒りが無くなる亜恵。
お、面白いのかな?私。
「いやー、後々バレるなっとは思ってたけどさ…意図も簡単にこうも、蓮の能力を破るとはな予想外だったなぁ」
能力?
…って、え?
「それに、蓮。お前やり過ぎ、もしもの事考えろ」
「………っ。」
言われると思ってなかったのか、そっぽを向く。
「さてと、…どっから話すかなー。」
「えっと、すいません。…予想外とかちょっと分からないんですけど」
なんかグルグルする。
え、なんかあたしすごい事したっけ?
「おい、お前蓮の力に当てられるのに平気なのが普通じゃねぇんだよ」
はい?
「だからな、亜恵。俺達は…」
…え?
ーバサッー
漆黒の翼なのだろうか、なんとも言えない翼がある。
あと、それぞれ違う角
髪色が突然変わったり、長くなっているのも全部
あたしの目の前で起こっている。
え、?
「まぁ、こういう事だよ。」
こ、、こういう事って?!
「ごめんね、俺たち人間じゃないんだ」
理巧くん、キラキラの困り顔であたしにそう言った。
ごめんねって。
「い、言われても…。」
まじまじと非現実的な光景に驚きが隠せない。
並外れた美形というか、なんと言うか。
まぁ、人間じゃなかったから…
「…みんなキレイ、、」
?!

