「そう考えた青年は、長く一定の土地にとどまったり、誰かのもとに長くいたりすることをなくしたのでした」



「悲しいはなしだね」

「そうかもねぇ」



私は不安になった。

最後の言葉でとても不安になった。



「かまきり」


かまきりは動かなかった。



「私を愛してしまうとは思わないの?」

頷くかまきり。

「私は人を愛する感情を忘れてしまったからね」

「それなら安心ね。私の傍から離れないね」