「…俺、大手会社グループの御曹司…、で。
跡継ぎだって、言われてんだ」
「跡継ぎ…」
「一人っ子だし、男だし。
…家はめちゃくちゃでかくて。
いつもたくさんの執事がいた。」
執事…。
あたしには、全然分からない世界だ。
「うんざりしてたんだ。
あの生活に。
いつも御曹司御曹司って。
俺は七光りなんかじゃない。
…俺はどこにでもいる普通の人間
親父の力を借りる気なんてさらさらねぇんだよ
俺は一人で生きていく
って決めた。
だから俺は一人暮らしをしている」
悠クン、苦しんでたんだね…
ごめんね、気づいてあげれなくて…
ごめんね、力になれなくて…
「親父に、もぅ一人でやっていけるってことを証明してやるんだ」
…もぅ十分だよ…
悠クンは、立派な人だよ…
「蒼依、俺は所詮こんな人間なんだ
親への反抗の為に喧嘩だってした。
悪い連中といっぱいつるんだ。
…でも、蒼依が少しずつ背中を押してくれた」
「そんなことないよ…
そんなことない」

