『……ごめんなさい』 あたしは目の前の人に抱きついて、愛しい人の名を呼んだ。 そばにいたいだけ。 体温も、匂いも、とても懐かしくて、とても優しい。 目の前の人がそっとあたしの名を呼んだ。 『由羅』 その声は、ひどく優しく響いた。 チクタクチクタク…… 音は止まってしまった。 もう二度と動かない…… 『もしもひとつだけ、なんでも願いが叶うなら、なにを願う?』