男の子は、しばらくぼんやりとしたあと、 「あっ!!」 と言って、立ち上がった。 「ん?留衣、知り合いか?」 「さっき会ったんだ。 ねぇ、僕の後ろの席にその子来る?」 「あぁ。 ちょうど席が空いてっし、そこにするか」 というわけで、私の席は窓側の1番後ろになった。 「ねぇ」と、あの男の子が声を掛けてくれる。 「僕は富山留衣[トヤマ ルイ]っていうんだ。 えっと、名前教えてくれないかな? さっきまで寝ちゃってて」 『成瀬亜美だよ。 あ、さっきは本当にありがとね』