黒髪のウィッグで銀の髪を隠して。 黒のカラコンで空色の瞳を隠す。 ふぅ、と1つ深呼吸。 私は銀姫。 天姫が必要とされるそのときまで、私は風龍の姫としてみんなの傍にいる。 もう弱い自分が出てこないように、しっかりと言い聞かせる。 ―――コンコンコン 「お嬢様、朝食の支度が整いました」 時計を見ると、ぴったり7時。 あまりの時間の正確さに、何だか笑けてくる。 『今、行くね』 鏡に映る女の子は、高校生とは思えないほど、凛々しかった。