―――え? “しょう”? 俺の中に、黒いもやもやとしたものが広がるのがわかった。 だって。 ・・ ……その単語を聞いて考えられるのは、ただ1つ。 男の名前―――だから。 ……なぁ、誰だよそいつ? こんなに涙を流すほど。 こんなに辛そうな顔をするほど。 お前にとって、大事な奴なのか? きっと亜美にこんな顔をさせられんのは。 世界中で、たったひとり――― “しょう”だけだ。 そんな現実が叩きつけられて、胸が痛ぇ。