「上行くぞ」 総長以外は先に幹部部屋へ行っていたから、総長が女性にそう言った。 ……見惚れるような光景だ。 これ以上のお似合いは、いないんじゃないかと思う。 でも、何だか総長……。 『機嫌悪い?』 俺の気持ちを代弁したのは、意外にも女性だった。 「気のせいだ、ばーか」 「「「……!?」」」 本当に驚いた。 総長が自分から女に構うなんて。 あの女性は一体、何者なんだろう? 2人が消えた扉を見つめながら、俺たちはしばらく呆然としていた。