幸せという病気


「武さんはきっと今も、誰かの想いでその命を引き止められ、延命されている・・・おそらくまだやり残した事があるのか・・・ただゆっくり死を待っているだけなのかはわからない。それを目の前にして今、貴方達は武さんに対して、『想い』ではなく・・・・『期待』をしてしまっている・・・」
















「・・・期待?」























「すみません、実は先程の二人の会話を聞いてしまいました。相川さんとお腹にいる子供を助けたい気持ちも、武さんならきっとなんとかしてくれるという気持ちも痛いほど解ります。私だって一人の人間だ。幸せ病について悩む程考えたし、奇跡があるなら信じたい。しかしそれが何度も続けば、人はそれをいつからか純粋な想いでは無く、期待に変えてしまう・・・本当なら良い事なのかも知れません・・・・・・だけど幸せ病は人の命を奪うという現実を決して忘れてはいけない・・・」









「・・・」
















「もう一度医者として答えます・・・残念ですが、武さんの体は・・・・・もう限界です・・・・」
















「・・・嫌・・・」



















医師の話を聞き、遥が静かに言葉を返した・・・。