幸せという病気



その時、時計は午前五時十五分を指し


















今も尚・・・武の心臓は微かに脈を刻んでいた――。























そして担当医が、遥の病室へとやってきた。



「先生・・・二人は・・・」



竜司が伺う。




「相川さんは、比較的安定しています・・・武さんは・・・」






そう言い担当医が黙ると、遥が落ち着いた声で聞き返した。






「・・・兄は・・・?」









「幸せ病始まって以来、あれだけ衰弱しきっている状態は初めて見た・・・何もかも使い果たしたかのように・・・静かに眠っています・・・おそらくこのまま・・・」









「・・・そんな・・・」







担当医が悔しさをかみ締めながら二人にそう伝えると、竜司は極度の脱力感に襲われる。








「武さんはもう何度も倒れている・・・本当なら・・・もう亡くなっていてもおかしくはない・・・この幸せ病を前に、私達に出来る事は・・・もう何もありません・・・」











「・・・そんな事ないですよ・・・先生・・・」









「え・・・?」












そして、遥が口を開いた。













「・・・うちの兄が死ぬなんて・・・そんな事ありえません」









竜司は、遥の言葉を黙って聞いている。










「本当ならもう死んでるなんて・・・お医者さんがそんな事言っちゃダメですよ・・・」









「・・・だけどね?どう考えたってあの体じゃ・・・」











「大丈夫ですよね?・・・お兄ちゃん・・・」













そう言い、遥が医師の言葉を遮ると、竜司は遥を落ち着かせようとした。