同じ『彼』に抱かれるのは初めてかもしれない。 はっきりとは覚えていないけれど。 昨夜の『彼』とは違う優しいキスは、あたしの中の何かを溶かそうとしているみたいで、少し嫌だと思った。 「ミホ」 あたしを呼んでいる声。 だけどそれはあたしの名前じゃない。 でも、あたしを呼んでいる。 閉じていた瞼を開けば真っ直ぐにあたしをみつめる瞳。