一匹狼と無邪気なワンコ


 ――ホント、狼ってば千佳が嫌いなようで。


 きっと千佳も気が付いているんだろうけど……俺にはどうしようも出来ない。


 いや、する気がないだけなんだけどね。



「んで、なんだよ? わざわざ教室まで来て。お前周りの視線痛くないわけ?」


「イタイっちゃイタイんだけどさー」


 ぶつぶつ言い始めた千佳を無視し、俺は再度狼と話を続ける。