俺は完璧に真幸の前から消えた。


最後に真幸の声を聞きたくて
電話をかける。


身体がしんどくて長くは話す
ことは出来そうにない。


俺は、真幸のアドレスを
呼び出し、携帯の使えるフロア
でかけてみた。



「もしもし、温人!!」

ワンコールで出る真幸。


 「ごめん。真幸。俺の事は
忘れてほしい。 探さないで
ほしいんだ。」


 「何言ってるの?どこにいるの?」


 「好きな女が出来たんだ。
そいつと生きていきたいんだ。
だから、俺の事は恨んでくれ。
そして忘れてほしい。」


 「ふざけないで。
ちゃんと会って話そう。
別れたいんならそれでもいいから。
だから、お願い。
顔を見せてよ。顔を見て言ってよ!!
ねぇ温人。おねがいだから。」


会いたいのは俺も一緒だ。
今すぐ会って抱きしめたい。

俺はくじけそうになって
無言のまま電話を切った。