「真幸。」
両親の前で差し出された
婚姻届。
籍を急いで入れようとするのは
わたしへの思いやりだと思って
いたよ。
温人が突然目の前から消えて、
わたしが不安がっていたのを
知っている亮君だから。
一日でも早く、ちゃんとした
形をわたしに示してくれたん
だと。
わたしへの愛情かと。
愛情・・・。
それはまちがいないか。
どんな嘘のうえになりたった
愛情でも。
何も知らなかったわたしは
あなたの名前の横に自分の
名前を書いた。
緊張で手が震えたね。
間違わないように、一生懸命
だったよね。
今日から、ふたりで生きていく。
今もし目の前に温人が現れたと
してももう迷わない。
もう振り返らない。
わたしは前を向いていく。
そう思っていたんだ。



