「………ん?」 ピタリと足を止めた和弥は、ゆっくりと振り返って、また私の方へ歩み寄ってくる。 あ、なんかつい勢いで呼び止めたけど… 「どうした?何か忘れ物でもしたか?」 「あ、えーっと……」 何もないんです、すみません。 何もない、けど。 「っ!ごめん和弥!ここで待ってて!」 「はっ?凛!?」 和弥を玄関先に残したまま、私は元来た道を引き返して全力疾走した。 一番近いコンビニに駆け込んで、息を整える。 突然店に入った私は、怪しい人に見えたかもしれない。