家には誰もいなかった。 お母さん、パートの時間かな……? 「何か飲むか?」 「いらねーから。お構いなく」 お構いなくって……そういうわけにもいかねーだろ。 勝手に着いてきて、勝手にくつろいでるし―― 「ん」 「え?…あ、サンキュー」 「コーヒー飲めるか?」 コーヒーを出した私は、わざとらしく和弥に問いかけた。 「凜…お前なぁ…」 「この前のお返しだ」 和弥がホットコーヒーを買ってくれたときに私に言ったことだった。 この私をガキ扱いしたからだよ、ばーか。