冬の日の犬のお話

弥助の目の前を、白いものが駆け抜けた。
犬じゃ。
しづとともに村におるはずの しろが、竹蔵らのおる窪地に向かって矢のように走っていったのじゃ。

叫び声があがり、たいまつの灯りに仲間の倒れていく影が映った。


弥助は…


弥助は逃げた。
臆病風に吹かれての、
仲間を…
竹蔵を捨てて逃げたのじゃ。