確かに……心の部屋全体は傷だらけ。




家族の写真なんてなかった……。




思い出というものがない。




「……何でこんなことしたんだ」

「…いらないから」




もう血縁者は近くにいなくて心は会おうともしないんだろう。




俺はせめて…何か与えたい。



消失してしまったものは、戻れないのなら。




「心は何がほしい?何でもいいよ」




心がほしいものを与えればいいと思う。




失ったものでも俺は努力する。




「……………」




簡単じゃなかった……心が俺に言うはずがない。




「……もうその刃物とか捨てろ」