遠くから、ただ眺めているだけだった桜。 近くで見上げて、綺麗だと、動いた心。 このままはイヤだと、 青磁先生にしがみついて泣いた、あの時。 カズ兄が好きだという想いを、忘れたくなくて、 ちゃんと思い出したいと、決めた。 だからーー 「いってきます」 碧い包みを抱えて、 私は歩き出した。