♢ 帰り道、 水色の青磁先生の車に乗って、 窓の外の次々と変わる景色を眺めた。 カズ兄に手を合わせてから、 ずっと、 青磁先生と会話らしい会話はない。 でも、 行きの雰囲気と違って、 気まずさとか、 沈黙の焦りは感じない。 どうしてかな? ぼんやり、 そんな事を考えていると、 「伽羅ちゃん」 青磁先生に名を呼ばれ、 運転席の方に視線を上げた。 なんだか、 いつもと違う呼び方の様な気がして、 少し心がザワついた。