――海だぁ!! 昨日も来たけど…。 夜の海はまた違う海に見える。 暗くて、孤独で。 人がいない、…ただ1人ぼっち。 朝の海とは全く違う海。 ……面影もない。 「……似てる…」 呟くと後ろから誰かに頭を撫でられた。 ――この手、知ってる。 大きくて、心地よくて。 ドキドキさせる人。 「日向…」 「みんな、莢を呼んでる」 後ろを見ると、笑顔で手招きしてくれていた。 日向はあたしを見た。 「…思い出してたのか?」 悲しい目で、あたしを見た。 …初めて言われた言葉……。