「でもね、ディル兄が間違った字を書いてたから……。他の人に言われるより、僕が教えてあげた方がいいと思ったんだ。ホラ、ディル兄、他の人に言われたらすぐケンカしちゃうし……」
ロウウェルの視線は相変わらず夕焼けに向けられている。
こげ茶色の目が夕日を浴びて茶金のように見える。
「そしたらセア姉がディル兄をからかって……。ケンカになっちゃうって思って僕……セア姉が間違ってたトコも言っちゃったんだ……」
なるほど。どんな経緯があったのか、全て理解出来た。
「んで、結局ロウに怒りが向いて、居なくなれって言われたってわけか……」
「うん……。でも、僕が悪いんだ」
何を言われても自分を責めようとするロウウェルの健気な姿に胸の奥が詰まる。
こんなに小さな体の中に、一体どれだけの優しさと思いやりを詰め込んでいるのだろう。それ故に子どもらしい我儘も言えず、人の顔色を窺ってばかりで。
「……傷ついて此処に来たんだろーが。たまにはガキらしく泣き喚いたりしろよ」
「そんな可愛い子どもにはなれないよ」
その言葉にゼルは思わず苦笑した。
「損な性格だな、オマエ」
「ゼル兄に言われたくないよ。知ってるんだよ、ゼル兄も、本当は勉強したいんでしょ? なのに、母さん一人じゃ農作業も出来ないからって諦めたんだよね」
「ロウ……オマエ……」
「ゼル兄は優しいよね。優しいし、ケンカも強い。でも、オレは剣士になる男だって言って、絶対に拳で殴ったりしないんだよね」
ロウウェルが柵に腕を預けたゼルを見てふわりと柔らかい笑みで笑った。
「僕、ゼル兄みたいになりたいな。剣士になりたい。いつか、ゼル兄より強くなるんだ」
花が零れるような笑顔は「剣士」のイメージとはかけ離れたものだったけれど、いつかロウウェルも剣士の称号を手にするのだろうと、そう思った。目的の為の努力なら惜しまないロウウェルだから。
「そりゃヤベェな。オレも負けてらンねェや」
最愛の弟と同じ夢を見る。それは温かで穏やかな喜び。
「世界一の座で、オマエを待っててやるよ」
果てしなく大きな夢を蒔く。
くすくすと音楽のように笑うロウウェルの瞳は何処までも優しい。
「うん。そこまで行くから。絶対行くから。約束だよ、ゼル兄」
「おう、約束だ」
ロウウェルの視線は相変わらず夕焼けに向けられている。
こげ茶色の目が夕日を浴びて茶金のように見える。
「そしたらセア姉がディル兄をからかって……。ケンカになっちゃうって思って僕……セア姉が間違ってたトコも言っちゃったんだ……」
なるほど。どんな経緯があったのか、全て理解出来た。
「んで、結局ロウに怒りが向いて、居なくなれって言われたってわけか……」
「うん……。でも、僕が悪いんだ」
何を言われても自分を責めようとするロウウェルの健気な姿に胸の奥が詰まる。
こんなに小さな体の中に、一体どれだけの優しさと思いやりを詰め込んでいるのだろう。それ故に子どもらしい我儘も言えず、人の顔色を窺ってばかりで。
「……傷ついて此処に来たんだろーが。たまにはガキらしく泣き喚いたりしろよ」
「そんな可愛い子どもにはなれないよ」
その言葉にゼルは思わず苦笑した。
「損な性格だな、オマエ」
「ゼル兄に言われたくないよ。知ってるんだよ、ゼル兄も、本当は勉強したいんでしょ? なのに、母さん一人じゃ農作業も出来ないからって諦めたんだよね」
「ロウ……オマエ……」
「ゼル兄は優しいよね。優しいし、ケンカも強い。でも、オレは剣士になる男だって言って、絶対に拳で殴ったりしないんだよね」
ロウウェルが柵に腕を預けたゼルを見てふわりと柔らかい笑みで笑った。
「僕、ゼル兄みたいになりたいな。剣士になりたい。いつか、ゼル兄より強くなるんだ」
花が零れるような笑顔は「剣士」のイメージとはかけ離れたものだったけれど、いつかロウウェルも剣士の称号を手にするのだろうと、そう思った。目的の為の努力なら惜しまないロウウェルだから。
「そりゃヤベェな。オレも負けてらンねェや」
最愛の弟と同じ夢を見る。それは温かで穏やかな喜び。
「世界一の座で、オマエを待っててやるよ」
果てしなく大きな夢を蒔く。
くすくすと音楽のように笑うロウウェルの瞳は何処までも優しい。
「うん。そこまで行くから。絶対行くから。約束だよ、ゼル兄」
「おう、約束だ」

