闇夜の略奪者 The Best BondS-1

 「さあな。お頭にはお頭の考えがあるんでしょーよ。とはいえ、今回のことに関してはおれもちょっと引っかかってるんだけどな」
 残虐の限りを尽くすのは毎度のことだが、何の利益も無い辺鄙(ヘンピ)な村へとわざわざ赴いたということが団員に僅かな波紋を呼んでいた。
 「だがな、今のお頭には鬼気迫るもんがあるぜ。おれ達はそんなお頭についていくだけだ。なあそうだろ?」
 ランガードの言葉に、怒らせたわけではないとほっとした表情で頷いたのは褐色の肌の男。
 「そっすよね。俺はお頭に命捧げる覚悟っすから!」
 「オレもですよ! 何にもできねえオレをこうやって置いてくれてんですからね!」
 その微笑ましい忠誠心にランガードは首を二度、縦に振った。
 「さて、今日は呑むぜ。お、ちょうど新しい酒樽が届いたみたいだな」
 「あ、オレ注いできますよ!」
 丸顔の男がランガードの手樽を取り、トルーアの酒屋から届けられた樽へと走っていく。
 そして彼らはまた樽を高く掲げて笑い合うのだ。
 夜はこうして更けていった。海賊船とも思えぬ穏やかな空気は、これから訪れる嵐の前触れ。
 男たちは何も知らぬまま騒ぎ疲れ、いつしか眠りに誘われていった。
 その眠りが薬によって、齎されたものだと誰一人気付かないまま――彼らは、夢を見る。