闇夜の略奪者 The Best BondS-1

 言い方としては酷いものだが、じきに海軍が来るのは事実だ。もうとっくにユーノに駐屯している海軍に連絡が入っているはずだから。
 「……だが、行くと言えども……」
 「おーい! 聞こえっかー!?」
 突如、ゼルが声を張り上げた。余りの大声にエナは思わず耳を塞ぐ。
 拡声器を通して未だにシャードを求めていた団員にまでその声が届くのだ。近くで聞いていたら耳がおかしくなってしまう。
 静かになった団員達に。
 「今からアンタんとこのアタマがそっち行くかンな!」
 そう言い置いたゼルはエナを振り返り、にやりと笑った。
 その笑顔でエナは全てを察知し、似たような笑みを返す。
 「アンタ、泳げるよな?」
 シャードに投げた問いに彼は状況の読めぬ中「ああ、まあ」と頷いた。
 「じゃ、そゆことで!」
 エナとゼルが声を合わせて、その行動に出た。
 「な、何をするつもりだと……!」
 狼狽するシャードの体が宙に浮く。
 そのまま体はエナとゼルの手を離れ、海の中へ。
 「頑張って泳げー!」
 高くあがった飛沫に向かってエナは手を振りながら叫んだ。
 海に叩き落され、海面に顔を出したシャードは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていて、エナ達の笑いを誘う。
 「また、何処かで会お!」
 「オレ、アンタの生き様、見届けてやっからな!」
 「せいぜい、海軍に捕まらないようにするんだね」
 三者三様、シャードに向けて発した言葉に、彼はやがて口元に笑みを広げた。
 「必ず……必ず仲間と赴くと誓おう」
 その瞳は漆黒ながら、夜空の星のように煌(キラメ)いていた。
 「エディの剣士殿の里へ」
 ゼルはしっかりと頷き、その想いを受け取った。
 晴れ晴れとした空、ゆったりと舞う風。
 そして、新たに繋いだ絆。
 それを笑顔と共にそれぞれの胸に刻み。
 「あのドクロ、ダサいよー!」
 船の上からエナが叫んだ。
 朗らかな、太陽のような笑顔で。
 絶好の船出日和。
 彼らは、出逢いと別れを繰り返す……――。

 ~Fin~