「おれらは海賊になりたくて影団に入ったんじゃない。お頭……貴方と共に生きたかったから! おれらはお頭が海賊でもそうじゃなくても何者だって構わねぇんです! だから。だからどうか……」
肉眼でも充分に確認出来るようになったその顔は涙に濡れ、くしゃくしゃに歪められていた。そして彼は体を半分に折り、悲痛にさえ聞こえる嘆願を渾身の大声で。
「だからどうか、おれらを捨てねぇでください!」
声に力が宿るならば、その精一杯の想いは誰かの身を引き裂いたかもしれない。そう思えるほどに命の篭った声だった。
シャードの見開いたままの目から、はらはらと涙が零れ落ちる。
「捨てんでください!」
「どうか、オレ達を……!」
「俺らにはお頭しか居ないんです!」
次々と頭を下げた団員達は何度も何度も繰り返す。孤独の中で死を待ち続けた一人の男に伝わるまで、何度も何度も。
「シャード。向こう、ああ言ってるけど? どうする?」
微動だにせず涙を流すシャードに声を掛けると、彼はようやくこの場に他の人間が居たことを思い出したかのように視線を向けた。困惑を浮かべたままの緩慢な仕種で。
「……私は……」
揺らぐ、彼の心。ぐらぐらと揺れる内にそれは振り子のようにどんどん振り幅を増して、そして。
「私は……!」
彼は拳を握り締めて俯いた。
おそらく涙を流した時点で、シャードの答えは決まっている。それでも言葉にすることを躊躇う彼にエナは微笑む。
「言ったじゃん。逃げずに選んでって。シャードが逃げずに決めた決断なら、それを止める権利は誰にも、無い」
顔を上げたシャードの赤くなった目には不安と、恐れ。
「だが、もしも、その決断でまた道を誤ってしまったならば……」
再び自身に潜む死神が目覚めてしまったのなら、と。そう思うと怖くて仕方がないのだろう。
エナはシャードの肩をぽんと叩いた。
「あんたには一緒に考える仲間が居るじゃん。あたし達も、居る。シャードはもう、何処に誰と居ても大丈夫」
だから決断を言葉にして、と促すエナにシャードは半眼を伏せた。両手は変わらず拳のまま、肩も強張らせた彼は。
肉眼でも充分に確認出来るようになったその顔は涙に濡れ、くしゃくしゃに歪められていた。そして彼は体を半分に折り、悲痛にさえ聞こえる嘆願を渾身の大声で。
「だからどうか、おれらを捨てねぇでください!」
声に力が宿るならば、その精一杯の想いは誰かの身を引き裂いたかもしれない。そう思えるほどに命の篭った声だった。
シャードの見開いたままの目から、はらはらと涙が零れ落ちる。
「捨てんでください!」
「どうか、オレ達を……!」
「俺らにはお頭しか居ないんです!」
次々と頭を下げた団員達は何度も何度も繰り返す。孤独の中で死を待ち続けた一人の男に伝わるまで、何度も何度も。
「シャード。向こう、ああ言ってるけど? どうする?」
微動だにせず涙を流すシャードに声を掛けると、彼はようやくこの場に他の人間が居たことを思い出したかのように視線を向けた。困惑を浮かべたままの緩慢な仕種で。
「……私は……」
揺らぐ、彼の心。ぐらぐらと揺れる内にそれは振り子のようにどんどん振り幅を増して、そして。
「私は……!」
彼は拳を握り締めて俯いた。
おそらく涙を流した時点で、シャードの答えは決まっている。それでも言葉にすることを躊躇う彼にエナは微笑む。
「言ったじゃん。逃げずに選んでって。シャードが逃げずに決めた決断なら、それを止める権利は誰にも、無い」
顔を上げたシャードの赤くなった目には不安と、恐れ。
「だが、もしも、その決断でまた道を誤ってしまったならば……」
再び自身に潜む死神が目覚めてしまったのなら、と。そう思うと怖くて仕方がないのだろう。
エナはシャードの肩をぽんと叩いた。
「あんたには一緒に考える仲間が居るじゃん。あたし達も、居る。シャードはもう、何処に誰と居ても大丈夫」
だから決断を言葉にして、と促すエナにシャードは半眼を伏せた。両手は変わらず拳のまま、肩も強張らせた彼は。

