きぃん、と拡声器の電源を入れる高い音が鳴ったかと思うと、幾多の声が海に、空に響き渡る。
「お頭ぁぁっ!」
シャードを呼ぶ多くの声が拡声器の音を割る。
視界の隅で動いた人影に、ふとシャードを見遣ると彼は船から目を離さないまま、呆然とした表情と躊躇いがちな足取りで一歩、船の桟に近づきそこに手を置いた。その手は少し震えている。
「何故、此処に……一般の港に来ては海軍が……」
呟きにさえならぬような小さな声が風に乗ることなく消えていく。
「お頭! 聞こえますか、お頭ぁ!」
港町ユーノの住人にすら届くような大音量だ。聞こえぬわけがない。
だがシャードは船を見つめ続けるだけで、その声達に何の反応も返さない。否、返せないのだろう。その驚愕は目を見ているだけで想像に容易い。
影団の船はぐんぐんと速度を上げ、エナ達が乗る帆船へと距離を詰める。
口々に何かを言い続けていた団員達をランガードが制し、辺りは一瞬静寂に包まれる。
「お頭……おれ、貴方を許せません」
やがて真摯な声が静かに響いた。
「貴方を慕ってきたおれらを道連れの手駒だと言い、そして簡単に切り捨てた。酷い裏切りだ。そうでしょう、お頭」
同意を求めるような言葉でありながら、その声音は答えなど欲していなかった。
「それでもおれらは、誰一人としてお頭に剣を向けなかった。なんでなのか、鈍いお頭にわかりますかね?」
船内から出てきた乗組員が海賊船の存在を認め、召集の号令を発する。背後でばたばたと走り回る足音も、飛び交う言葉も何一つ、シャードには聞こえていないようだった。
彼の全ての神経は今、自身の部下だった者たちへと向けられている。
「おれらはお頭の決定に従ったんすよ。貴方に捨てられても……それでもおれらのお頭は貴方ただ一人だから……だから従ったんすよ!」
声が微かに揺れる。鼻が詰まったようなそれは、涙声。
「お頭ぁぁっ!」
シャードを呼ぶ多くの声が拡声器の音を割る。
視界の隅で動いた人影に、ふとシャードを見遣ると彼は船から目を離さないまま、呆然とした表情と躊躇いがちな足取りで一歩、船の桟に近づきそこに手を置いた。その手は少し震えている。
「何故、此処に……一般の港に来ては海軍が……」
呟きにさえならぬような小さな声が風に乗ることなく消えていく。
「お頭! 聞こえますか、お頭ぁ!」
港町ユーノの住人にすら届くような大音量だ。聞こえぬわけがない。
だがシャードは船を見つめ続けるだけで、その声達に何の反応も返さない。否、返せないのだろう。その驚愕は目を見ているだけで想像に容易い。
影団の船はぐんぐんと速度を上げ、エナ達が乗る帆船へと距離を詰める。
口々に何かを言い続けていた団員達をランガードが制し、辺りは一瞬静寂に包まれる。
「お頭……おれ、貴方を許せません」
やがて真摯な声が静かに響いた。
「貴方を慕ってきたおれらを道連れの手駒だと言い、そして簡単に切り捨てた。酷い裏切りだ。そうでしょう、お頭」
同意を求めるような言葉でありながら、その声音は答えなど欲していなかった。
「それでもおれらは、誰一人としてお頭に剣を向けなかった。なんでなのか、鈍いお頭にわかりますかね?」
船内から出てきた乗組員が海賊船の存在を認め、召集の号令を発する。背後でばたばたと走り回る足音も、飛び交う言葉も何一つ、シャードには聞こえていないようだった。
彼の全ての神経は今、自身の部下だった者たちへと向けられている。
「おれらはお頭の決定に従ったんすよ。貴方に捨てられても……それでもおれらのお頭は貴方ただ一人だから……だから従ったんすよ!」
声が微かに揺れる。鼻が詰まったようなそれは、涙声。

