気がついたら海にいた。 繁華街を無事に抜けてきたらしい。 北街の海はお世辞にも綺麗とは言えない。 証拠に、綺麗な星空は見えても海はどんよりと濁って見える。 それでも、人間は海を見るとその偉大さに心が震えるという。 亜利哀は海岸線に沿って歩いてみた。 海の偉大さなんて、これっぽっちも分からない。 でも人がどれだけちっぽけかは、よく分かる。 小さな社会で、表と裏なんて作って。 頭が良いとか悪いとか、髪が紅いだの金だので人を判断して。 地位や学力、金や権力が物を言う大人の世界。