ヤクザの家とはいえ、亜利哀の言動に驚いたりしないのは慣れているからだろう。

都は裏口に向かうその背中を見て、口元を吊り上げる。

「…メリークリスマス、篠原のお嬢様。」

そうして、金持ちとエリートと黒い連中の中に身を潜めた。








裏口には、やはり人がいなかった。

「ビンゴ。」

パチンと指を鳴らせるはいいものの、移動手段が無いのに気づく。

アシが必要。

茨にバイクで来てもらおうか?

でも、あいつのバイクのマフラー音は尋常じゃないくらいに煩い。