海の時と同様、彼は簡単に亜利哀を抱き上げて、運転席まで持ってくる。 「な、な、何?」 突然の行動に驚いた亜利哀は、一度頭を天井にぶつけた。 同時に舌を噛んだ。 その激痛に言葉を失って、ヘニャリと彼の膝の上に座り込む。 「…知ってるか?今日はクリスマス・イヴだって。」 常識だ。 世界共通だ。 耳元で言われた言葉にそう返したいけど、返せない。 「逃げるか。」 自己完結した彼。 何を完結したのかは、知る由もない。 「何から?」 やっと口をきけた亜利哀は質問する。