車から見たイルミネーション前を行き交う人々は手を繋いでいた。 笑顔で愛を語り合ってるのかもしれない。 この後、男が奮発した綺麗なホテルに泊まりに行くのかもしれない。 家族連れだって、友達同士だって。 普通にそこに居られる。 居るのが当たり前で、何も問題はない。 亜利哀だって、隣に彼が居ることに不満は無かった。 「…どうしてあたしが『篠原の一人娘』なの?」 今まで泣いたことのない、泣くくらいなら死んだ方がマシ、な亜利哀が泣いた。