亜利哀だって、恋人同士でクリスマスを過ごすことが出来ている。
状況は…兎も角。
いつ追っ手が来るのか分からないからか、さっきよりも神経を尖らせている。
「…ツリーないけど。何かしら?あなたはこの蟻のように蠢く人の群れが見たかったの?」
半分皮肉入り。
「はいはい、予想外だったデスよ。」
「…ねぇ。」
暖房の温度を上げた亜利哀は、妙に真剣な声を出した。
彼はそれに身構える。
とびきりの嘘か皮肉がくると思っていたから。
「今度、見合いさせられんだけど。」
お嬢様とは言えないような口調で、ドッキリな言葉を吐いた。



